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ひなぎく 〜カフェ・ギャラリー・古本〜 | ||
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●道のり JR荻窪駅西口の改札口を右へ出て(北側)、線路に沿うように吉祥寺方面へ歩くと、3~4分で、右手に白山神社の参道入口が見えてきます。その向かい、線路際に、“昭和30年代モルタル2階建”といった風情の建物があり、その2階にあるのが「ひなぎく」。 少々、急な階段を上り、ギィーと鳴る扉を開けると、ほの暗い灯りの下、カフェとギャラリーと古本屋さんが一体となっている「ひなぎく」の空間がそこにあります。一歩、中へ入れば、やさしく、静かで落ち着いた空気に包まれます。 この「ひなぎく」の開店に至る道のりを、後藤さんにお伺いしました。 「出会ったところでやれる範囲でやりたい」と、はっきりしたお店のイメージは持たず、場所も決めず、あせらず、飲食店の物件を探し始めて2年くらい経ったころ、当時ジャズバーだった、荻窪のこの物件を知りました。 現在の「ひなぎく」の店内からも、ひっきりなしに行き交う中央線、総武線、東西線の電車の光が、格子窓の向こうを、右に、左に、流れるのを眺めることができます。 |
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●食の世界へ もともと医療系の仕事をされていた後藤さんが、食にかかわる仕事をされるようになったきっかけは、「口から食べられることの大切さ」だったそうです。 「神保町あたりのうす暗い喫茶店が好きなんです」という後藤さんは、飲食店めぐりやケータリングなどをしながら、徐々に、食べものを提供する仕事に向けて動き始めます。 出会った物件の立地を考えて店の姿勢を決め、店内の段差を見てギャラリー併設を考え、厨房や照明の設備を見てレストランではなくカフェだと判断し、現在の「ひなぎく」が誕生することになりました。 |
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●オーガニック・カフェ? 「ひなぎく」のメニューの一番下には、小さく、「食材は概ね有機栽培作物や有機飼料による食肉を使っています。」と書いてありますが、「ひなぎく」をよく利用されるお客さんでも、「ひなぎく」がオーガニック・カフェなどとは意識していないのではないでしょうか。 コーヒーは山口県の自家焙煎店のオーガニック豆使用、紅茶は静岡産でオーガニック、牛乳は東毛酪農の低温殺菌、調味料類も自然食品店で販売しているようなものばかり。 これだけ質の高いものを提供しながら、なぜ、それを主張しないのだろうと思い、質問してみると、子どもの頃から、家には自然食品やオーガニックの食材が、ごくごく当たりまえにあって、それをことさら主張することなど、「気づかなかったんです」と笑って答えられていました。「これからは、もう少しPRしてみようかと考え始めているところです」とも。 メニューには、ベジタリアンマークがあります。お店の考えというよりは、お客さんの選択肢を広げるという意味で、「レンズ豆のベジタリアンホットサンド」などが用意してあります。 |
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●メニューから 現在、ごはんメニューは、主に土日に提供される「豆と野菜のトマト煮ごはん」(植物性のみの食材)と「鶏肉と豆腐のそぼろあんかけごはん」の2種類が中心になります。他にはキッシュや、4種類のホットサンド(天然酵母パン使用)などがあります。 ドリンクは、お酒をはじめ、メニューが豊富です。梅酒、ワイン、ウィスキー、日本酒、焼酎、泡盛、ベルギービール…。烏龍茶、あずき茶、黒豆茶、ざくろジュース…などなど。 開店当初のこと。納得できるオーガニックコーヒー豆が見つからず、カフェなのに、4ヶ月位、メニューにコーヒーがない期間があったそうです。 |
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「ひなぎく」のスタッフとして働いている遠藤さんは、もともと菓子職人。お客さんとして「ひなぎく」に来ているうちにスカウトされ、「ひなぎく」のスイーツを担当することになりました。 「素材に出会ったとき、その素材をどう生かしたらいいか考えます」という遠藤さん。えごまのシフォンケーキも、えごまに出会ったとき、シフォンケーキにしたら美味しいのではと、ひらめいたことから生まれました。 ひらめいたイメージを実際にメニューに載せるまでには、試行錯誤を重ね、イメージを変化させ、調整していきます。時間がかかるそうです。 クッキーは、その種類によって小麦粉を使いわけます。これは農林61号、これは南部地粉、これはセモリナ粉というように。 小さい頃、アメリカにいた経験があり、アメリカのお菓子作りの本に魅せられたという遠藤さんですが、自分のつくったお菓子を「ほかの人に食べて欲しい」という強い気持ちがあるそうです。そして、ふらりと訪れたお客さんに「美味しかった」と言ってもらえると「すっごくうれしいです」と、顔をほころばせて、本当にうれしそうに話してくれました。 |
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●デイジーワールド 後藤さんが、お話の最後に、「デイジー(ひなぎく)って、多様性の象徴なんですよ」と教えてくれました。 ギャラリーは、ものを作って見せたいという人たちに、気軽に手の届きそうな値段と広さで、スペースを提供できたらと始めました。カフェスペースから独立しているので、落ち着いて鑑賞できます。 開店から4年ほど経った2006年、「ひなぎく」は、古本屋さんの「海月書林」を迎えました。 そもそも、カフェの準備段階から、臨機応変に周りの状況に対応してきた「ひなぎく」。 |
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「ひなぎく」は、2008年9月23日に閉店しました。
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