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(みつばちプロジェクト)
 カタチカフェ 〜石神井公園近くのcafe+artスペース〜
みみよりアーカイブ > Cafe&Restaurant >カタチカフェ

 2004年〜2012年の記事です。内容が古くなっている場合がありますのでご注意下さい。

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●あとは“休日”があればいうことなし

東京、練馬区の石神井公園にほど近い場所に位置する「カタチカフェ」。
公園の近くがいいなと、カフェのための物件を探していた店主の渡辺さんが、足を止めたのがこの地でした。

石神井池と三宝寺池の真ん中、ちょうど公園を二分するバス通り(井草通り)を、公園から西武新宿線方面へ坂を上っていくと、右手に「カタチカフェ」があります。
都区内としては、意外に野趣あふれる(三宝寺池側がおすすめ)石神井公園。その散歩帰りに寄るお客さんも多いことでしょう。
公園にカフェ。あとは“休日”があればいうことありません。しかも、「カタチカフェ」はartもプラスしてくれます。

美大を卒業し、気づいたら、いつのまにかカフェをやっていたという渡辺さん。
店内のいたるところで、“カタチ”にこだわらないartの空気が感じられます。
また、壁面はミニギャラリーとして貸し出しています。
「画廊ほどおおげさではない発表の場として利用してもらえれば…、お気軽にご相談下さい」とのこと。取材にお伺いした日も、ちょうど新しい展示の初日でした。

西武新宿線上井草駅から、あるいは上石神井駅からそれぞれ徒歩13分ほど。

小さなカフェですが、artとともにゆったりとした時間が過ごせます。写真手前はテーブル席で、奥がカウンター席です。

●視線の重ならない店内

店内に入り、数段の小さな階段を上がると、右手に、4人座れるカウンター、左手に、4人席のテーブルがひとつ。そんな小さなカフェですが、店内は視線が重ならないように工夫されています。

カウンターの目の前はオープンキッチンですが、階段を上がった分だけカウンターのほうが高いので、キッチンで一生懸命調理しているシャイな渡辺さんと目が合うことはありません。かといって距離は近いので、話しかけるとすぐ応対してくれます。この距離感がなんとも心地よいのです。
あくまでお客さん本位でお店づくりをされているんだなあという印象を受けました。

テーブル席は、カウンター席と向きが90度違い、キッチンからも離れ、入口を見下ろす高さに位置しており、もう、どっぷり自分の時間に沈めます。シートに腰掛けたら最後、根が生えます。

店内の壁にはart系の本が並べられ、そのときの気分にまかせて本を手に取り、ページをめくれば、ぜいたくな、そして豊かな時間があふれ出します。

夜遅くまで営業しているので、お勤めの方も、少し遅めに帰宅した日でも寄れるのがうれしいところではないでしょうか。


●「カタチカフェ」のアートシーン

渡辺さんは趣味で料理をつくっていたものの、カフェを始めることになるとは自分でも考えていなかったのだそうです。

“カフェメニュー”というものに興味を持ち、ふと料理学校へ通い始めたところ、思いのほか本格的なカリキュラムで、そのことがカフェをオープンするきっかけになったとのことです。
たまたまカフェをやることになったという自然体の姿勢が、店内の居心地の良さにつながっているようにも感じました。

加えて、artの経験と感覚が、ここそこに生かされています。
いろいろな種類のカップは、カフェをスタートする前から好きだった骨董市めぐりで仕入れたもの。コーヒーを注文するときは、毎回違うカップで味わうことができ、どのようなカップが出てくるか楽しみです。
アイスもののドリンクなどに使われる紙のコースターには、「カタチカフェ」のオリジナルデザインが配され、メニューはCDケースに収められています。
店内に置かれたテレビでは、60年代のCMや、フェルメールの映画などが、常時、映像のみ放映されています。
イタリアが好きという渡辺さんですが、冬の暖房は、やはりデロンギのオイルヒーター。

(上)ザクロ・ソーダとコースター。
(下)CDケースに入っているMENUの数々。

イタリア版コロッケのアランチーニ。チーズがとろけている熱々のうちにどうぞ。奥は季節野菜のピクルス。こちらもおすすめ。

 

ひとつひとつ丁寧に手づくりしてくれます。メニューを選ぶのに迷います。

●手づくりメニューのいろいろ

MENUを見ると、“これ全部ひとりでつくっているんですか?”と聞いてしまったほど、いろいろあります。

人気なのが、おかずタルト。「スナック感覚で召し上がって頂けます」とのことですが、小腹にぴったり。具は気まぐれだというこのタルト、近くにある「いわさきちひろ美術館」のカフェでも頂けるのです。逆にいえば、「いわさきちひろ美術館」のカフェのタルトは、「カタチカフェ」製なのです。
ちなみに、「いわさきちひろ美術館」のスタッフのおひとりが、渡辺さんの美大時代の同級生だとか。美術館にケーキやタルトを届けるようになってから知ったそうです。こんなところにも美大ネットワークが…。

アランチーニというイタリアのコロッケもおすすめ。中身はジャガイモではなく、お米、キビ、アワ、ヒエ、押し麦、はと麦といった“雑穀コロッケ”ともいえる一品。真ん中にチーズが入っています。もちろん注文してから揚げてくれるのです。

バゲットの上にエビのムースをたっぷり塗ってオーブンで焼き上げるエビパン。ホットサンド2種や、タマネギをじっくり炒めてつくるというオリジナルカレー、ロコモコ風ハンバーグなどなど。
ハンバーグのイタリア風は自家製パンが付いてきます。
この自家製のパンは、カボチャや人参などの野菜が生地に練り込んである野菜パンです。イーストのパンですが、油脂を使わない、ノンオイルのヘルシーパンです。

フレーバービールや、イタリアンビール、ベルギービール、ワイン、リキュールカクテル、ジンなどのアルコールもそろっています。
そのおつまみとしてもよいかもしれない、季節野菜のピクルスも美味しいのです。甘ったるくなく、やさしい味付け。



●パウンドケーキが充実のスイーツ

もちろん、お茶するメニューも充実。
エスプレッソマシーンはイタリア製のマジスタ。日本ではあまり見かけないとか。美味しいエスプレッソが頂けます。
フレーバーカプチーノ、ジェラート・コン・カフェ、マシュマロ・ミルクティーといったバリエーションも楽しめます。

スイーツはその名前も魅力的。「リスのパウンドケーキ」(きび糖)、「密輸の宝石」(きび糖)、「日和下駄」(黒糖)など、パウンドケーキのさまざまな種類が並びます。気まぐれでチーズケーキなどが登場することも。

カウンターの上のビンに詰められたクッキーは「魔法のチョーク」、「ポレンタのしっぽ」、「森の客人」。それぞれ手づくりの美味しさが伝わってきます。

公園の近くにあって、昼過ぎから夜遅くまでのどの時間帯でもお茶ができ、小腹も満たせて、お酒も楽しめる。お客さんにとって、本当に利用しやすいカフェだと思います。
心地よさに味をしめたお客さんたちとともに、これから、「カタチカフェ」のある風景が育まれていくように感じました。

 

〒177-0044 東京都練馬区上石神井3-6-29
TEL:03-6767-1066
営業時間:14時~23時(平日)
     12時~23時(土日)
定休日:水曜日


パウンドケーキの「マーブル職人の気持」と。豆乳ラテ。

     

 

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